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癒しの休憩室

癒しの休憩室

詩)鎮魂歌

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(曲を聴きながら読んで下さいね、、、、。



「鎮魂歌」


夕立が去ったあとのように
あっけない静寂だね

もう耐えられないと思ったことが
何度あっただろうか。

みーこ

集中治療室に通されて
すぐにわかったよ

これで「さよなら」だってこと

見たことの無い器械が
たくさんあって
呼吸だけは、していてくれたよね

今でも
「遅れてごめんよ」って
やっぱり言ってしまう。

みーこ

まさか僕より先だなんて
思わないもの

何にもしてあげられなかった

まだ、あたたかい額を撫でながら
「どうしてだよ」って
つぶやくしかなかったよ。

僕が駆けつけて、
五分後に亡くなるなんて
我慢強い
君らしいね

待っていてくれたんだよね。

これからは
夕立には気をつけなくちゃ

もう
傘を持って
迎えに来てもらうことも
なくなったね

これからは
夕立には
気をつけるよ

「だから、傘を持って行けばって言ったじゃない」

あの日
頬杖をついて
得意気な顔で
改札口で待っていたね。

おどけるように
ゆっくりと差し出された
僕の大きな黒い傘

笑顔ばかりを思い出す。



今日も
あの日とおなじ
電車の外は激しい
夕立だよ


街並みを行く
誰も彼もが、右往左往に逃げまどう


外は、あの日とおなじ
夕立が来ているよ


みーこ



(12月1日に亡くなったみーこに)







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